理工学研究科Graduate School of Science and Engineering
ELC500X2(電気電子工学 / Electrical and electronic engineering 500)情報伝送工学特論1Information Transmission Engineering (Ⅰ)
斉藤 茂樹Shigeki SAITO
授業コードなどClass code etc
学部・研究科Faculty/Graduate school | 理工学研究科Graduate School of Science and Engineering |
添付ファイル名Attached documents | |
年度Year | 2022 |
授業コードClass code | YA531 |
旧授業コードPrevious Class code | |
旧科目名Previous Class title | |
開講時期Term | 春学期授業/Spring |
曜日・時限Day/Period | 土2/Sat.2 |
科目種別Class Type | |
キャンパスCampus | 小金井 |
教室名称Classroom name | 各学部・研究科等の時間割等で確認 |
配当年次Grade | |
単位数Credit(s) | 2 |
備考(履修条件等)Notes | |
実務経験のある教員による授業科目Class taught by instructors with practical experience | |
カテゴリーCategory | 電気電子工学専攻 |
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Outline (in English)
This course introduces "basic technology of digital signal processing for communication (especially digital Fourier transform, digital filter, fast Fourier transform, adaptive equalization)" as usable digital signal processing to students taking this course.
The goals of this course are to be able to sensuously learn and apply the Fourier transform, which is the basis of digital signal processing, as well as mathematical formulas.
Students will be expected to have completed the required assignments after each class meeting . Your study time will be more than four hours for a class.
Your overall grade in the class will be decided based on the following Term end examination: 20 %、 Short reports :20% 、and in class contribution: 60%.
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の概要と目的(何を学ぶか)Outline and objectives
分かり易い(使える)デジタル信号処理: 移動中もTV画面の乱れが少なくなった。スマホの速度がますます速くなっていく、海外のクラウドサーバへのアクセスが超早い。これらにはデジタル信号処理が応用されている。今やデジタル信号処理は、様々な最新デジタル機器に必須のキーテクである。
本講では、使えるデジタル信号処理として、主に、「通信向けのデジタル信号処理の基礎技術(特に、デジタルフーリエ変換、デジタルフィルタ、高速フーリエ変換、適応等化)」を習得する。企業でデジタル関連の商品を開発する際の基礎知識となる。携帯電話、地デジ及び光通信への応用例の紹介や演習を交えて学ぶ。課題を解明する方法で技術への探究心も養う。信号の通り道の特性を逐次推定し歪んだ信号を補償する「適応等化」は、光通信の最先端技術。応用は果てしない。
到達目標Goal
本科目では、以下を到達目標とする
①デジタル信号処理の基本となるフーリエ変換について、数式だけでなく感覚的に身につけ応用できるようになる。
②デジタルフィルタが設計できる。
③高速フーリエ変換や適応等化が理解できる。携帯電話、地デジ及び光通信の変復調のしくみが理解できる。
④それらを信号伝送や信号制御に応用できる力(通信の分野に限らない)を身に付ける。
この授業を履修することで学部等のディプロマポリシーに示されたどの能力を習得することができるか(該当授業科目と学位授与方針に明示された学習成果との関連)Which item of the diploma policy will be obtained by taking this class?
ディプロマポリシーのうち、「DP1」「DP2」「DP3」に関連
授業で使用する言語Default language used in class
日本語 / Japanese
授業の進め方と方法Method(s)(学期の途中で変更になる場合には、別途提示します。 /If the Method(s) is changed, we will announce the details of any changes. )
本授業は、「課題を提起しその解決手段を自身が考える」ことで、知識だけではなく使える技術力を身に着ける。技術の真の意味を理解し、応用を可能とし、更には新たに創造できる力を養う。教科書は使用せず資料を配布するが、対話形式や討論形式で考える力を引き出し、自身でノートにまとめることで記憶を深める。難しい理論式については分かり易く解説するので、通信以外の世界に進まれる方にも一助になると確信する。更に、クイズ形式やグループ討論等で楽しく学ぶ。特に項目毎の○×問題で理解度を測る。また13回目に授業内の課題の講評や解説を行う。
例えば、位相特性が悪い伝送路でデジタル信号は何故歪むのか?歪を修正するには?デジタルフィルタで、自由自在に波形を変えられるか?高速フーリエ変換のしくみは?これらの解決手段を討論等によって検討し、発表し、講評を受けることで自身の力として取り込む。
アクティブラーニング(グループディスカッション、ディベート等)の実施Active learning in class (Group discussion, Debate.etc.)
あり / Yes
フィールドワーク(学外での実習等)の実施Fieldwork in class
なし / No
授業計画Schedule
授業形態/methods of teaching:対面/face to face
※各回の授業形態は予定です。教員の指示に従ってください。
第1回[対面/face to face]:デジタル信号処理と通信への応用
地デジの送信機には、逆ディスクリートフーリエ変換が使用されている、○か×か?
(携帯電話、無線LAN、地デジ、大容量光通信)
第2回[対面/face to face]:線形不変システム
Z変換
X(n)⇒X^2(n)なるシステムはFIRフィルタで表せる、○か×か?
(畳み込み、FIRフィルタ)
第3回[対面/face to face]:ディスクリートフーリエ級数
(DFS)
1周期“1110”の周期信号は、直流を含む4つの周波数の信号の合成で表せる、○か×か?
(周期信号のフーリエ変換)
第4回[対面/face to face]:ディスクリートフーリエ変換
(DFT)
DFTは、非周期信号のスペクトルを求める方法である、○か×か?
(DFTは信号処理のスーパーウェポン!)
第5回[対面/face to face]:連続信号のDFT処理方法
連続信号は分割してDFT処理した後で結合すればよい、○か×か?
(折り返し雑音、オーバラップAdd)
第6回[対面/face to face]:DFTと周波数/時間との関係
DFT結果の周波数分解能は、ポイント数Nが大きい程細かい、○か×か?
(周波数分解能、Nポイント)
第7回[対面/face to face]:伝達関数
歪んだ波形を元通りにするには、その時間波形に逆伝達関数を乗算すればよい、○か×か?
(伝達関数、システム制御)
第8回[対面/face to face]:デジタルフィルタの設計
伝送信号は複数の周波数信号の合成体、例えば高い周波数信号だけ遅れたら波形は歪む、〇か×か?
(位相直線性)
第9回[対面/face to face]:コヒーレント光通信への応用
海底ケーブルの伝送特性が刻々と変化、対策はどれ?①時々潜ってフィルタ係数を変更、②時々引き上げてフィルタ係数を変更、③参照信号と比較して自動でフィルタ係数を変更。
(コヒーレント光通信、信号処理、適応等化)
第10回[対面/face to face]:高速フーリエ変換1
高速フーリエ変換はDFTを近似的に簡易化したもの、〇か×か?
(時間間引きFFT、シグナルフローグラフ)
第11回[対面/face to face]:高速フーリエ変換2
バタフライ演算とはFFTの最小の計算単位、〇か×か?
(バタフライ演算)
第12回[対面/face to face]:高速フーリエ変換3
君もFFTを設計してみよう。
(4ポイントFFT、周波数間引きFFT)
第13回[対面/face to face]:まとめ
これまでの授業の振り返り(授業内の小問題や課題に対する講評や解説)。
第14回[対面/face to face]:まとめ演習及び解説
到達目標の達成度の確認
授業時間外の学習(準備学習・復習・宿題等)Work to be done outside of class (preparation, etc.)
【本授業の準備・復習時間は、各4時間を標準とします。】学んだ内容を、実践(日常や研究)で使ってみる。多くの疑問を出し答えを考えることで知識を深める。些細な疑問でも積極的にメールや授業で提示されたい。
テキスト(教科書)Textbooks
教科書は使用せず、学習支援システムにアップロードした参考資料で講義を行う。各自ダウンロードし必要に応じて印刷すること。討論結果や自らの検討結果をノートに書き留めることで記憶を深める。
参考書References
1.中村尚五著「デジタル信号処理」、「デジタルフィルタ」、「デジタルフーリエ変換」東京電機大学出版局
2.伊達玄著「ディジタル信号処理(上)」コロナ社
成績評価の方法と基準Grading criteria
平常点(60%)、課題(20%)、まとめ演習(20%、必須)を総合して評価する。まとめ演習はオンライン授業の場合、ダウンロードした問題に回答する形式で行う。
平常点から考える意欲を、課題及びまとめ演習から目標の達成度をはかる。各回の授業の内容は相互に関係しているので授業に欠かさず出席すること。
学生の意見等からの気づきChanges following student comments
成績評価基準は本シラバスに明記。項目毎に○×問題で理解度を測り授業にフィードバックする。
学生が準備すべき機器他Equipment student needs to prepare
オンライン授業の場合、スマホよりもテキストが見やすいモニタのあるPCを望む。更にカメラ付がベター。
その他の重要事項Others
通信機器工学特論1に続けて2を、更に情報伝送工学特論1及び2を履修することを薦める。伝送の基礎理論から応用システムまで、通信技術全般を学ぶことができる。通信分野以外にも役立ち、企業での活躍の一助となるであろう。無線技術士の資格取得や特許作成力の習得にも有用。
通信機器工学特論1: 分かり易い通信技術
通信機器工学特論2: 分かり易い無線システム
情報伝送工学特論1: 分かり易い(使える)デジタル信号処理
情報伝送工学特論2: 分かり易い伝送基礎理論
[実務経験及び反映] NTT研究所で初代デジタル携帯電話機を開発(2018年度電波技術協会賞受賞)。第1級無線従事技術士取得。回路設計から標準規格化まで担当。NTTエレクトロニクス株式会社で各種通信機器を開発。特に、無線LAN(Wi-Fi)用IC、TV素材伝送無線装置、及びIoT用無線装置、並びにセキュリティ技術を開発。
上記の実務経験を活かして、情報通信技術の様々な疑問について分かり易く解説する。特に、IoT用無線技術やデジタル信号処理技術は、今後の研究開発活動の一助になると考える。さらに特許事務所での実務経験を生かした特許取得方法の講義は企業に入社後間違いなく有益となる。